うつわと道具やころはのBLOG

うつわと道具やころはのブログです。 生活に寄り添った“作家のうつわ”と“台所道具”についてご紹介しています。

【うつわの基礎知識】知っておきたい木のうつわの取り扱いと仕上げについて

 

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こんにちは。“ころは”店主のミキです。

 

木の器や道具って「すぐ染みになりそう」、「何だか扱いが難しそう」と感じられたことはありませんか。

 

今回は、それらがより身近で便利なものに感じていただけるようなブログをお届けしたいと思います。

 

木の魅力と言えば、素朴な風合いや優しい手触り、でしょうか。

 

寒い日に、熱いスープを木のスプーンで口に運ぶとき、またお味噌汁のお椀を口元に寄せるときにはしみじみとした幸福感に包まれますね。

 

木には断熱と保温の効果があるためお料理が冷めにくいのに、手には熱くない。その上軽いので、食器に向いている特性があります。

 

汁椀が姿を変えることなく長い歴史の中で愛され続けている理由にも納得ですよね。

 

一つひとつ、うつわの木目を生かした美しい彫りを見ると、作家さんの丁寧な仕事ぶりを感じ、大切に長く使いたいな、と愛おしくなりますね。

 

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お取り扱いについて知っておきたいこと

 

木は自然素材ですので、温度変化や乾燥、湿気に弱い性質があります。

 

その為、お取り扱いについていくつかの注意点があります。

 

・電子レンジには使用しない

・食器乾燥機は基本的に使わない

・水に長時間浸けておかない

・温度の変化や乾燥に弱いので冷蔵庫に置かない

・使用後は早めに洗う。

 洗剤はなるべく薄め、柔らかい布等で洗い、水分をすぐに拭き取る。

・漂白剤は使わない

 

以上のことを日常の中で気にかけながら付き合っていただけると、より長くお使い頂くことができます。

 

木工の仕上げとお手入れ方法

 

木の器や道具を作る工程で、より使いやすく丈夫に、かつ美しくするための作業を「仕上げ」といいます。

 

代表的な仕上げに「オイル仕上げ」、「ウレタン塗装」、「漆塗り」、「ガラスコーティング」等がありますが、一方で木そのものの良さを残すため、何も施さない「無塗装」のものもあります。

 

この項目では、主に当店で扱う木工作家さんたちが手掛ける「仕上げ」とそれぞれのお手入れ方法についてお伝えします。

 

 

Icura工房さん

 

オイル仕上げ

 

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加工した木の表面にクルミ油を塗って仕上げたものです。

 

木の乾燥が原因の反りや割れを防ぐ事ができ、水を弾く効果もあるので汚れが染みにくくもなります。

 

手に馴染むしっとりした柔らかな風合いは、オイル仕上げならではの特徴ですね。

 

使い始めに表面がかさつく、また、使っているうちに磨滅して白っぽくなる場合があります。

 

時折、クルミ油(製菓用のクルミを布で包みつぶして出た油)を塗り込むと、木肌が保護され、色合いも良くなります。

 

彫り仕上げのもの(彫り目の美しさが特徴)でなければ、紙やすり(400番より細かいもの)をかけて表面を滑らかにしてから油を塗ることもできます。

 

自分で簡単に手入れできるとうれしいですね。

 

 

木固めエース仕上げ

 

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「木固めエース」という人体に無害な浸透型ウレタン(合成樹脂)を塗装後、食用油で仕上げたものです。

 

ウレタンを塗ると、水分の吸い込みを防ぐので染みが付きにくく、木質を強くするので一層丈夫になります。国内の一部の地域では学校給食の食器に使われており、安全性の高いものだと分かります。

 

お手入れは時折、クルミ油を塗り込むと良いようです。

 

使い初めに熱いものを入れると塗料の臭いがすることがありますが、使い続けるうちに臭いはなくなります。また、熱い湯ですすぐことを数回繰り返せば、臭いは落ち着きます。

 

工房えらむさん

 

ウレタンオイル仕上げ

 

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天然植物油を主成分とし、ウレタンを含む、食品衛生法に適合した安全な塗料で仕上げたものです。

 

植物油のみで仕上げたものよりも、臭いや染みがつきにくくなっています。

 

お手入れは時折、クルミ油を塗り込むと良いようです。

 

 

漆塗り

 

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伝統的な自然塗料である漆の樹液でコーティングしたものです。

 

工房えらむさんは「拭き漆塗り」という技法で施されています。

 

生漆という透けた漆を塗り、余分な漆を拭き取る作業を繰り返すことで、美しい艶と透けた木目が生まれます。また水濡れに強く、熱いものにも使用できます。

 

漆塗りは特に扱いが難しそうな印象がありますが、前述の「お取り扱いについて知っておきたいこと」を守れば長く使えます。

 

 

無塗装

 

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何も塗装をしていない、木そのままの状態のもの。

 

調湿効果や抗菌作用にすぐれ、香りの良さが特徴です。

 

弱点として、乾燥に弱く染み込みが早いので、使用前に水にくぐらせると汚れやにおいが付きにくくなります。

 

ただ、どうしても染みは付きやすいものです。

 

長く使ううちに木は枯れた色へ変わり、染みの表情も変化してきます。

それらも木の味わいとして楽しめるとよいですね。

 

松本克也さん

 

ガラスコーティング

 

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食品衛生基準を満たしたガラス成分を含んだ塗料を木に浸透させたものです。

 

繊維に入り込み硬化することで強度が増し、傷付きにくくなります。

 

完全防水ではありませんが、耐水性があります。

 

表面には塗膜ができず、木肌の吸湿性を保ったままなので、吸い込んだ水分を蒸発させることができます。

 

松本克也さんのガラスコーティングの器には、コート剤が3回塗り重ねられ、その上からコーティング保護のためにオイルが塗られています。

 

お手入れは時折、ひまわり油等を塗り込むと良いようです。

 

仕上げにオイルが使われているもののお手入れに「クルミ油」を主におすすめしていますが、無ければ食用のオリーブ油でも代用できます。ただ、乾きにくいので、少量を塗ってよく拭き取り、乾燥させてください。

 

 

 

いかがでしたか?

 

今回、「仕上げ」について調べている中で

「木が持つ良さを大切にしつつ、使う人の健康や便利さのために、作家さん達は様々な研究を重ね、技法を磨き、より自然に近いものにするための工夫されているのだな」

と、知り、改めて器たちに対する愛おしさが深まりました。

 

意外に扱いが難しくなく、日常使いしやすい木の器や道具たち。

食卓にも温かみが恋しくなるこの季節に、ぜひ活躍してもらいたいですね。

 

korohacurry.hatenablog.com

 

*ころはオンラインストア

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「作り手」と「使い手」を繋げる、そこでしか出会えない、そんな価値のある店を目指して営んでおります。

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